『出身高校の偏差値による、企業の採用基準』

平成16年  6月19日

激安の店で知られる、ドンキホーテが、
「偏差値40以下の高校出身者は採用不可」等の社内基準を作り、、
これに沿って採用を実施しているとの内容の記事がフライデーに載った。
現時点では、ドンキはこれを否定し、フライデーは自信たっぷりの態度。
そして、この記事に対して神奈川県と同県教育委員会から「差別である」という文句が出ている。

さて、問題はこれが『差別か?区別か?』という点にある。

そもそも、これは「私企業の採用条件」である。
どんな人材を採るかの決定権は全てその企業にある。
極端な話になるが、前科者しか採用しないと決めても、東大を卒業した者しか採用しないと決めても、
それらは全て企業の自由であるし、それに付随する社会的評価などの全責任も企業が負っている。
つまり、この問題は差別ではなく、区別という事になる。
もし差別として非難するならば、履歴書自体を否定する事にも繋がりかねない。

そこで、もっと問題を掘り下げてみたいと思う。
と言うのは、ドンキの基準は批判されるに値するものなのか?という事である。

「要注意の高校が偏差値49以下で、採用不可は40以下」

偏差値49以下の高校でも、有名大学に行く生徒はいる事から、
おそらくは、高卒の新規採用基準として作られたものであろうと推測される。

日本の高校受験においては、選択肢の幅がある程度確立されている。
学区内に公立高校は多いし、授業料も公立なら何処も殆ど同じである。
異なるのは、偏差値、つまり学力による差のみである。
つまり、高校受験というのは純粋に中学時代の勉強の評価が直結するものなのである。
そこで偏差値40以下の高校にはどういう生徒が入っているのか、
という事を正確に把握する必要がある。
それが分からなければ、ドンキの採用基準(ドンキは否定している)の意図が分からない。

現在私は家庭教師と塾講師のバイトをしている。
受け持っている生徒は全て中学校3年生。
よって、偏差値や内申点の問題から、どの高校にどんな生徒が通うか、という事は把握している。
私も同じ学区内の公立中学、公立高校を出ているから当然と言えば当然である。

私の判断では、偏差値40以下の高校は、酷い生徒が多いと言える。
塾に通っている生徒で、言い方は悪いが所謂”落ちこぼれ”の生徒でさえ、
偏差値40以下の学校には進学しない。
つまり、本当に勉強をしなかった人間が行く高校なのである。

私の中学の同級生で、
偏差値40以下の高校に行った人の事を思い返せば、多くが”不良”と呼ばれる生徒であった。
校則は守らない、中学のトイレで喫煙、無免許運転など挙げればきりが無く、男女共に髪を染めていた。
そんな生徒達が、なんとか行ける学校というのが偏差値40以下の高校であった。
内申点で言えば、中学の5段階評価でオール2でも行けるのである。
中学校の甘い成績付けで、オール2というものがどういう意味かは推して知るべしであろう。
また現在、偏差値40以下の高校では毎年定員割れで、
本当に名前を書けば合格という状況になってしまっている。
私の時からそうであるが、入学した生徒の半分は中退してしまう。

それが実情である。
無論、全ての生徒の素行が悪かったり、不良だったりという訳ではない。
が、しかし、大きい企業になればなるほど、一人一人をゆっくり吟味する事は難しくなる。
そういう状況において、
採用基準として就職希望者が中学までどういう行動をとっていたか、勉強を少しでもしたか、
という事を見るならば、偏差値40以下の高卒者を切るという行為は理解出来るのではないか。

と私は思う。

中学校と高校では違うが、私の高校時代の成績は悪かった。
が、その理由は”自分が遊び呆けていたからだ”と理解していた。
もし、今回の文章を見て怒る偏差値40以下の高校出身の方がいたとしたならば、
自分の中学校時代の行動を思い返して欲しいと思う。
もちろん、家庭環境などの様々な要素があるとは思うが、
頑張って勉強をしていましたと胸を張れるかどうかを。

私は成績の悪かった高校時代の自分の行動を胸を張ることは出来ない。